へとへとになって家に帰り、飯を食って風呂に入ってやっとベッドに倒れたとき。
携帯のサブディスプレイがきらびやかに光った。
「孝介!あたし、好きな人できちゃった」
いきなりの告白。携帯が受信したものはからの着信だった。枕に顔を埋める。まったくコイツは疲れてるっていうのにさらにオレを傷つける気かこんちくしょー。
「ふーん。誰だよ、お前に好かれたかわいそうな奴は」
聞くなよオレ。聞きたくないのに。
「なにそれ!ちょー失礼!」
「失礼なんかじゃねェよ。かわいそー、そいつ」
本当はそいつが死ぬほどうらやましい。なんたってオレはが好きだから。
とは中学の頃から今までずっと同じクラスで、仲が良い。からすれば仲の良い男子Aなのかもしれないけど、オレの中では仲の良い女子Aじゃない。むしろ仲の良い女子A時代は一秒もなく、恥ずかしいけど一目ぼれだった。
「でねっ!その好きな人なんだけどー」
あーもーこいつは!話続けんのかよ!うまく流せたかなって思ったんだけどなぁ。
…でも、正直気になる。誰だよオレの大事なの心を奪ったヤローは。
はちょっと頬を赤らめながら続けた。喋り方でわかる。あいつもともと色白だから、すぐに色の変化が現れるんだよな。その小さな色の変化さえ愛おしく思う。ベタ惚れだな、オレ。
「水谷君なんだ!7組の!」
「ぇ…はぁ!?水谷!?」
ガバッと布団から飛び上がった。強く頭を殴られたような衝撃だ。
オレの頭の中に水谷のアホ丸出しの笑顔が思い浮かぶ。なんだよ!あれの…あれの…!
「あれのどこがいいんだよ!」
脳と喉が直通した。いやでも本気だぞ。なんでよりにもよってあいつ…。
あれ…つまりあいつに負けたってことか…?
「水谷君はねぇ!男子にはわかんないかもしれないけど
すっごいかわいいんだから!もーすっごくだよ!?わかる!?」
「わかんねェよ全然!」
あー理由なんて聞かなきゃよかった!結局傷つくの俺じゃんかよ。
「ねぇ、孝介は好きな人いないの?」
その声を聞いて、脱力した。もう嫌だ。なんだよこいつ、鈍感女め。
「…いるよ。ずっと好きなやつが。でもそいつアホだから気付かねぇの」
「えー!そうだったの!?
そういやぁ孝介からこんな話聞くの初めてかも。どれくらい?どれくらい好きなの?」
今年で4年目と答えても自分だとは思わないらしい。
こんな鈍感でアホなところもかわいいと思ってしまうオレはもう病気なんだろうか。
「恋は盲目」って言葉が自分にぴったりだと思う。空と雲くらいぴったり。
「まぁ、お前なんかすぐ気持ち変んだろ」
「え?何よいきなり!今孝介の話してんじゃん!
しかも絶対そんなことないから!孝介みたいにずっと一途に想ってみせる!」
あぁ、聞かなきゃよかった。ずっと想ってみせるだってよ。今の効いたぜアホ。
オレはいっつもこうやって自ら自分を傷つけるようなことを言ってしまう。
普段はそんな事ないのに、こいつと話すといつもこうだ。調子狂うんだよな…。
自分で気付かないくらいに緊張しれるのかも。ガラッと窓を開けた。
熱風が入ってくるけど今は何でもいいから風にあたりたかった。目を細めて夜空を見る。
なんだか無数の星にイラついた。くそっ能天気にピカピカ光りやがって。
「おい!オレはな!いつかぜってー好きな奴振り向かせるから!」
「おっ!その意気だよ孝介!孝介に惚れない奴はいないよ!」
…いるだろーが、お前って人間が。
「頑張って孝介!あたしも頑張るから!」
「いやお前は頑張んな、マジで」
なんでじゃー!とが怒った。はぁー、アホだなぁまったく。とりあえず明日
水谷を一発殴ろう。それくらいいいだろう。まぁこんなアホが好きでオレも苦労するけど…
頑張れ、オレ。
自らエールを。
あとがき
はい、短いですね。
初の泉くん夢でした。にしてもかわいそーだな泉。
いつかヒロインちゃんには振り向いてあげて欲しいものです。
でもちょっとかわいそう位な泉くんがまた好きです。←