栄口勇人は金曜日五時間目に降り注ぐひだまりのような人だと思う。
金曜日五時間目ひだまりの席にて
金曜日五時間目の授業は泣きたくなるぐらい苦手で大嫌いな数学の授業。
ちなみに私の席は窓際の後ろから二番目。ちょうど日が差し込んでくる特等席だ。
数学の授業は他の日にもあるのに、何故か金曜日の五時間目が駄目らしい。週末ごろになって疲れでも溜まるのかな。大嫌いな数学の授業でXやらYやらの文字に奮闘してる時、というよりその闘いに負けた時。自分が情けなく感じて、なんだけ泣きそーになることがある。私は涙腺が緩いうえに負けず嫌いだから。そんなとき、机の上に開いたノートに、シャーペンを握った右手に降り注ぐ暖かい日差しに意味も無く安心する。
私にとって栄口くんはそんな人。なにか不安に感じたりしたときに栄口くんの笑顔を見るだけで無条件に安心する。栄口くんが笑えば、私の心に不安の影は存在できなくなる。この感情を恋と呼ぶのかはわからないけど、今までのどんな人よりも私に必要な人な気がする。ただ同じクラスのただ隣の席の栄口くんの存在が私にはすごく大切。それが恋であっても恋でなくても。
ある日の木曜日。隣は空席。実際の皮肉すぎるほどの青空に反して、私の心の中は曇り。そのまま、なんてことない一日が過ぎてゆく。栄口くんがいないとつまんないや。帰っちゃおっかな。なんて考えていた昨日。
今日はもう平気みたい。フツウに学校に来てる。休み時間、隣の栄口くんが話しかけてきた。
「。悪いけど、昨日の数学のノート見せてくんない?」
「あぁー数学ヤバイなぁー」と困ったように眉を下げながら栄口くんが溜め息をつく。二週間後にテストを控えている。今はみんな話していてがやがやしてるけど、授業中はやっぱり普段より静かだ。
「そんなことないよ。栄口くんは大丈夫だよ」
私の言葉に答えながら栄口くんがノートを受け取る。
「んーそうかなぁー。あ、ありがと。」
「絶対、私のがヤバイよ」
「やっぱりでも試験不安になったりするんだ。めっちゃ頭いいじゃん。」
確かに現国とか英語は得意だけど。数学は全然駄目。
「そりゃあ…不安になるよ。そんな頭よくないし。」
そこで一回言葉を切って、特になにがあるわけでもない自分の机を見た。
少し考えてから、いつも思ってることを口にした。
「私、不安になったときに栄口くんが隣にいると安心する。栄口くんが笑ってるとこ、好きだな」
決して恋愛に積極的でない私が、こんな簡単に言えたのは、自分でも恋か否か判断しかねているからだろう。顔を上げると、栄口くんは真っ赤になって目を見開いたまま固まっていた。栄口くんは目線を前に向けて、でも相変わらず赤いままでぼそぼそ喋りだした。
「オレもが笑ってるとこ、好きだよ。が笑ってるとなんかホッとするとゆーか…」
さっきまで照れながら言葉を選びながら喋ってたかんじだったけど、今度は真っ直ぐ目を見てはっきりと口にした。顔は相変わらず赤かったけど。
「が笑ってると、なんかよく分かんないけど、大丈夫だ。って思える」
「…ホントに?」
「ホントだよ」
栄口くんは少しも迷わないで答える。栄口くんが言った言葉なら私は無条件で信じられる。私だけが思ってた訳じゃないらしい。言葉が出ない私に栄口くんは微笑むように笑いながら提案する。
「じゃあさ、なんか不安になったら相談してよ。オレも不安になったらに言う」
あぁ、なんて。
なんて暖かく笑う人。なんて優しく笑う人。
「そんで、大丈夫だよ。って笑って言おう」
栄口くんは金曜日五時間目のひだまりのような人。あなたが笑えば、日が差し込むように不安の影は存在できなくなる。心が温かく、優しく満たされる。
「うん。ぜったい相談するね」
これで不安に襲われることも無いだろう。不安になっても隣の席で栄口くんが笑って大丈夫だよって笑って言ってくれる。とりあえず、次の席替えまでは安心だ。
あとがき。
なんか…ヒロイン鬱っぽいすね。←
なんかこう、思考回路がよく分かんないかんじの文章を書きたかったのですが…
あえなく玉・砕☆
違う意味でよくわからないものに…
夜にケータイでむにむにと書いたものです。
多分、一時間くらいで出来上がりました。