今日、転校生が来た。


です。よろしくお願いします。」


…どっかで聞いたことのある名前だな。何でだ?突如現れた疑問に気持ち悪さを覚えた。
くしゃみが出そうで出ないみたいだ。

が教室の真ん中を歩き、右から4列目の後ろから2番目に座った。
その様は妙に落ち着いていて、育ちが良さそうなオーラが体を覆っていた。
そんな転校生をみんな席に座るまで動物園の動物のようにじろじろと見た。

朝のHRの終わりを示すチャイムが鳴り、たくさんの人がの机に集った。
それぞれ自己紹介をして、「何県から来たの?」とか「彼氏いるの?」とか自由に質問をぶつけた。
ちなみに隊長は水谷だ。あいつの人なつっこさは長所だよな。
そこだけはすげェと思う。…そこだけ、は。

昼休み。オレは飲み物を買おうと自動販売機へと足を運んだ。
2台並ぶ自動販売機の右側の方を選んで、2人だけしかいないあまりにも短い列に3人目として並んだ。
しっかり握った150円を、なんてことはないけど確認したりした。
目の前の人がお金を入れたのがなんとなく目に付いたとき、その目の前の人がだということに気がついた。
気がついたとちょうど同じくらいに、何かが身体中を駆け巡った。


「っ!あ!」


その駆け巡ったものは声となって出た。
はっと思いお金を持ってない方の手で口を隠した。
はびっくりしたのを隠そうと軽く笑顔を作り、妙な半笑いになっていた。


「ぁ…いや、わり…」


思いだした。こいつ、“アンナ”だ。
同じ幼稚園で、同じすみれ組だった。
そいで、オレの初恋の人だ。

思い出した内容に恥ずかしくなって、急いでお金を自動販売機に詰め込んだ。
早く立ち去りたかったけど、この場をやりすごさなければいけないので聞いてみることにした。
ボタンを押して商品がガコンっと出てくるお馴染みの作業をしながら。


「オレ…阿部。幼稚園一緒だった…」

「…ぁ、え…」


うわ、こいつ覚えてない…恥ず。バーっと顔が熱くなった。


「わりぃ、何でもない」


そう言って急いで自動販売機から飲み物を取りだし、逃げた。
教室に戻り手早く弁当を片付けて、寝た。


次の授業は数Aだった。けど、頭の中は幼稚園の時のことを思い出していた。

そうだそうだ。あいつ、将来の夢は自動販売機だって言ったんだ。
とにかくすげぇ変わったヤツだった。
当時どこが好きだったとか全然覚えてねぇけど、変わったヤツだったことは覚えてる。
きっとそんな夢を持つ人間は園児にとって衝撃的だったんだろう。
つか何で自動販売機なんだっけ。
…あぁ、確か『年中無休で夏には冷たいものを、冬には暖かいものをプレゼントできるから』とかいう理由だった。
だから自動販売機の前で思い出したんだ。

平和すぎるあの日々がおかしくて、笑ってしまうのを堪える辛い数Aの授業だった。
そんなこんなで恥ずかしさもだんだん和らいできて、頭の中が野球色に染まってきたGrammarまでの休み時間にが話しかけてきた。


「あのさ、“タカヤくん”でしょ、すみれ組の」


何でかドキッとした。

「えへへ。ごめんね、さっき気がつかなくって。数Aの時間に思い出したんだ」


は申し訳なさそうに笑った。
将来の夢が自動販売機だったことを言うと


「うわ、やだ!覚えてた!?恥ずかしい!!」


と言った。
最初に感じた育ちの良さそうな雰囲気は失われていて、昔と変わってないんだなと思った。

なんだか笑えた。
そしてなぜだか安心した。




第2ステージ



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あとがき。
薄い。
内容が薄い。
すいませんでした…。
阿部は幼稚園の時にちゃんと好きな人がいたタイプだと思うんですよ。
そんなところが書けて満足なんですが…
なんか、薄い。
…頑張ります!!



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