「それでは皆の衆、よく見なされ」
「「おおー!」」
鴉天狗がご自慢に取り出したのは今年の紅白歌合戦の出場歌手一覧だ。
「あら!今年の一番手は浜崎あゆみですか」
つららが言う。
「去年もそうじゃなかった?」
毛倡妓が紙を覗き込み続けて言った。
「雪女、拙僧にも見せろ。ほう、ラストは噂通りSMAPか」
ふんふん、と頷く黒田坊。
「え、司会は嵐!?へぇ、嵐も出世したわねー」
みんな一気に群がり、出場歌手一覧に食らいついた。散々みんなが見て若干しわがついた一覧表がやっとボクに回ってきた。
「あ、黒田坊が好きなAKBが出るじゃないか」
「若、止めて下さい!拙僧はアイドルなんか興味ありませんぞ!」
「でもさりげなくテレビに出てるとき観てるわよね、そういえば」
突如浮上した“黒のアイドル好き説”でみんな散々盛り上がり、(黒をからかうだけだけど)宴会が始まる前から楽しかった。
お正月が一番好きだなあ。
「今年は紅組と白組どちらが勝つかな?」
問いかけると、
「紅組ですわ!」
つららがガッツポーズをきめながら言った。
「いや、白組だろう。ずっと勝ち続けてるじゃないか」
首無がにこーっと笑いながら否定した。悪気はなさそうだけど、つららはむくれた。
実際、どっちでもいいけど。
女は紅組、男は白組が勝つと言い張り、ぎゃんぎゃん言い合った。
だんだんヒートアップしてきて、ああ、みんなヤクザだなあ、なんて思いはじめたころに
「勝つのは奴良組じゃ」
え…?
一同、硬直。
おじいちゃんが参戦してきた。
「おじいちゃん、奴良組は紅白歌合戦に出ないからさ、関係ないよ」
「いや、奴良組が勝つ」
シーンとした。
え、もしかして、ボケ?
ボケが始まった、かな?
みんなの顔色を伺ってにんまりしたおじいちゃんは言った。
「まあそういうわけで、今回はその辺にして、宴会をはじめんか。もう腹が減ってかなわんわ」
「は…っ!
はいぃ、ただいまー!」
「申し訳ございません、ぬらりひょん様!私たちったら…!」
「ほらあんたたち座布団並べて!料理運ぶよー!」
年が終わるときも、我が家はうるさいです。
さようなら*2010年